pieces 渡り鳥のソムニウム レビュー

 ども。未だに自分の名前が馴染まないセンヤです。そりゃ(書いてないんだから)そうでしょ。

 今回はやっと第一弾のレビューを書いていこうと思います。そのゲームはこちら。

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 はい、 Whirlpoolさんの「Pieces 渡り鳥のソムニウム」です。2019年に発売されたこのオーラあるビジュアルを持つ作品ですが、皆さんこの作品知ってますか?まぁ知ってますよね。結構有名っぽいですしね。私は10本1万円セールでその名を目にするまで知りませんでした。エロゲーマー失格です。

 

 

あらすじとか(公式サイトよりコピp引用)

 『ここは天使が眠る町』

 天使が安らかに眠れるように毎朝子守唄を捧げている。子守唄で人々は目覚め一日が始まる。そんな不思議な伝承のある町ミッテベル

 天使だけではなく人間だって不思議な夢を見ることがある。
 イメージした人間の見る夢を渡り歩き、登場人物の一人になる……。
 高坂燕は、そんな力をいつからか持ち、他人の夢を渡り歩くべく一日の大半を睡眠に費やしていた。

 そんな彼がある日、古ぼけた洋館の窓辺に一人の少女の姿を見かける。
 儚げな少女は美しく、燕は一目で心を奪われる。
 彼女のことを知りたい。
 その一心で燕はつい彼女に対し能力を行使してしまうが、それは失敗に終わる。

 少女……君原結愛は燕に告げる。

 結愛も燕と同じく他人の夢を見ることが出来る不思議な力の持ち主だった。
 ただし、彼女は見る夢を選ぶことはできない。
 それどころか、彼女が毎夜見せられるのは誰かの悪夢。
 悪夢に蝕まれた結愛は、いつしか眠りを拒むようになっていた。

 眠らない少女と、眠り続けたい少年。
 二人の夢が重なるとき、伝承は再び動き始めるのだった。

 こ

 

ネタバレなしの感想

シナリオ     B  個別がトゥルーの前座でしかないが、トゥルーのシナリオは評価高め

キャラクター A  綺麗なイラストも相まって可愛らしくて魅力的なヒロイン多数

CG          A+    業界トップレベルで質が高い

音楽     B    物語をさりげなく盛り上げる雰囲気の良い音楽 ただし印象は薄め

総合評価   B  キャラゲーとしてそこそこな個別と、シナリオゲーとしてそこそこなトゥルー

 

 かなりCGの質が高く、力を入れて作られたのはよく分かるのですが、個別ルートがトゥルーのための布石でしかないのが残念でした。退屈な個別が続くのでややだれますが、トゥルーはしっかり締めてくれます。キャラ萌えもばっちり。

 

ネタバレあり感想

 

共通ルート B+

 先の展開に大いに期待できる共通でした。お話はプロローグといった感じで、主人公の能力を説明するためにいくつかのエピソードを盛り込んで、各ヒロイン達との交流をしただけでしたが、それなりに面白いコメディも交えつつで過不足なく楽しむことが出来ました。

 この時点で主人公に好感を持ちましたね。他人を思いやれるようなさりげないやさしさを持っていて、やや下ネタに対する比重が大きい以外は基本的に常識人。ツッコミもボケもできて人が良いので見ていて不快感がない。

 ちなみに共通時点ではありすが一番好きでした。巨乳に紛れる貧乳に惹かれる傾向がある。恐らく全人類が。

 

ありすルート A

 かなり良かったです。前半は時計台で歌うという目標が明示されていたのですごく読みやすく、少しづつ二人が前に進み、心を通わせていく過程が丁寧に描かれていました。後半の母親との確執や夢ありすとの話なども、主人公の設定が上手く活かされていて良く出来ていました。母親の思考回路は正直???だったのですが、夢ありすとの別離のシーンは思わず感動させられました。ベタでありがちな展開ではありますけど、感動できる手法だからベタなんですよね。

 このルートのテーマは「目覚め」。夢ありすに依存していたありす、そして元気なありすに逃避していた夢ありす、現実を受け入れられなかった母親。全員が逃避を断ち切り夢から目覚め、前を向いて歩くことができるようになるまでのお話でした。このルートの夢ありすはトゥルーとはまた少し違うみたいですね。吉川もいませんし。幸せになることを願うばかりです。

 ありすは見た目性格ともに一番好きだったのですが、個別でも期待を裏切らない可愛さでした。この手の妹系後輩って実はあまり好みではなくて、何故かと言うと主人公をからかうような小悪魔的性格であることが多いからなんですけど、ありすに関してはあまりその手のからかいがなかったのでシンプルに可愛い妹でした。心の中の脹相が五億回くらい「どけ!俺はおにーさんだぞ!」って叫んでた。

 けど、一回くらい燕と呼んでほしかったなと思ったり。おにーさん呼びも可愛いんですけどね。

 

深織ルート C

 正直いまいちでした。ありすルートと違って物語の指針・目標となるものが存在していないため、付き合うまではひたすらふんわりした取り留めもないお話が続いて、ひどくだれた印象があります。告白したらすぐにHに入ったのも、性欲が先行しすぎているようで個人的には好きじゃない。寝てる深織に襲い掛かるなど、このルートの主人公はやや性欲が強すぎた気がします。合意なき性行為は恋仲であってもレイプじゃねーの(恋愛経験なし童貞並感)。

 私は付き合い始めてから初Hまでの初々しい交流が好きなので、それがバッサリなくなるのも辛い。性行為を挿入することで、恋人になったあとにさらに深い関係の変化を描写できるのがエロゲである利点の一つだと思っているのですけど、告白即セックス!なエロゲはけっこう多い。ユーザーはエロエロなキャラを求めているということでしょうか。私は少数派か。

 後半からようやく話が動き始めますが、これまた微妙。このルートだけでは分からないことだらけで、正直トゥルーのための伏線でしかなかったです。獏が消えるシーンも、過程が謎だらけでよく分らないので感情が入りきれなくて、ふーん...で終わってしまいました。結愛も眠ってしまったし、あんまりすっきりしない終わり方。

 多分ありすルートとは対比の位置関係にあるんだろうなぁと。ありすは「目覚め」、深織は「眠り」がテーマなのでしょう。眠りってのはね、誰にも邪魔されず自由で、なんというか救われてなきゃあダメなんだ。というお話。まぁ、眠りをテーマに話を作るのは難しかったんだろうなぁというのはこのルートからひしひしと伝わってきます。

 深織先輩自体は好きでも嫌いでもないです。ちょっと巨乳が過ぎるけれど、Hシーンの実用性的には一番なのかもしれない。いや、使わないんですけどね..。えっちなお姉さんキャラは正直苦手。

 

紬ルート C

 紬は幼馴染キャラの悪いところが凝縮されたようなキャラだなと感じました。近すぎる距離感が故の過干渉が鬱陶しいレベル。主人公も突っ込んでましたが、母親かよと言いたくなるレベルで主人公の世話を焼きます。おそらくこれは無意識下の恋愛的感情に裏打ちされた行動であって、決して母性ではない。少なくとも私はそう読みました。結愛の良い子な面が目立ったルートだったのもあって、余計に紬の負の一面が際立って見えてしまった印象です。

 シナリオも深織ルート同様トゥルーの為の布石でしかなく、ルート単体で見れば全く面白くなかったです。見せ場であるクライマックスも、何が起きているかの説明が全くないので感情移入も何もない。主人公も紬も核心についてほぼ全部わかっているのに、シナリオの都合ってだけの理由でプレイヤーに一切語らない。最後まで何も分からないまま、キャラクターの間だけで全て分かったような空気になって終わる。最もプレイヤーとキャラクターの間の距離の乖離を感じたルートでした。

 このルートのテーマは「変化」かな。変わるものもあれば変わらないものもある。大事なのは、変化を恐れない勇気だ、みたいな。幼馴染ルートにありがちなお話です。まぁ、テーマとか考えるほどこのルート自体が独立したものではないんですけど。深織、紬と面白くない話が続いたせいでだいぶモチベーションが減っていたりいなかったり...。個別を蔑ろにする構成は良くないなぁとつくづく思う私です。

 

結愛ルート B

 メイン格なだけあって結愛が可愛い。めちゃ可愛い。個別に入って初めてまともなデレを見せるので破壊力が凄いです。付き合い始めて、ようやく自分の好意を表に出し始めたあたりが可愛すぎて悶えた。まぁ、告白即Hのパターンはやっぱり好きじゃないんですけど...。ヒロインの魅力を引き出すシナリオとしては結構優秀だったんじゃないかと思います。ここまでやってきて、ようやく「あ、個別はキャラゲーとして見ればいいんだ」と気付きました。おせぇ。

 付き合い始めて速攻で終わったあたり、やっぱりこのルートもトゥルーの前座でしかないんですけど、キャラゲーのシナリオとしてはそれなりに良かったです。続きはトゥルーへ。

 知らないモブキャラとの確執を急に持ち出した時はえぇ...と思ったものですが、まぁ無難な落としどころだったんじゃないかと思います。悪夢を引き寄せる能力で見えてしまった→本人にとっても悪夢であったというロジックや、「結愛の悪夢を解決する」という文言の解釈は、予想外だけど納得できるものだったのでちょっと感心してしまいました。結愛は悪夢を引き寄せる能力なのであって、結愛自身の悪夢がそれとは限らない。そして、結愛が引き寄せるものは例外なく本人にとっての悪夢である。全ルート中最も夢のギミックの使い方が上手いルートでした。

 

トゥルールート A

 個別全てを前座にしただけあって、かなり力の入ったトゥルーでした。

 これまでばらまいてきた伏線を回収して、これでもかというほどに感動シーンを連続でぶつけられるシナリオ。予想外の何かがあったわけではありませんが、その分地盤をしっかり固めてきたなという印象。最後にそれまで築いてきた人間関係が消えてしまう展開に弱いんですよね私。君の名は然りサマーポケッツ然り。彼らの歩んできた軌跡を勝手に振り返って勝手に泣いている外野の私です。

 

 犠牲を強いる世界の否定と犠牲になった人たちの優しさの肯定。

 誰かの犠牲の上に成り立つ世界を否定するだけでなく、それまでの犠牲は無意味ではなく尊いものだった。だからこそ犠牲を強いる世界を壊そう、というそれまでの世界に対するフォローが入っていたのが凄く良いと思いました。世界の在り方を否定するお話は沢山ありますけど、じゃあそれまでの世界で幸せだった人達はどうなるの?犠牲になった人達は何だったの?っていう疑問をなあなあにすることはままあります。それにこの作品は答えを出してくれた。直球ながらも力強いメッセージ性を持った作品でした。愛を持って互いを思いやる心と、それによって作り上げた優しい世界が最も尊いものということかな。多分。

 

総評

 トゥルーの破壊力は素晴らしいですが、いかんせん個別が弱かったかなぁ...という作品でした。終わりよければすべてよし!と言える程に凄まじい面白さがトゥルーにあったわけでもないですし...。とはいえ、しっかり泣ける終わり方になっており、大団円の素晴らしいお話だったと思います。なんだか批判点ばかりあげつらうレビューになってしまったと思いますが、ファンディスクも買おうかなと思えるくらいには良いお話でした。美麗なビジュアルに惹かれた方や、可愛いヒロインが見たい方、ありすのつつましいおっぱいに惹かれた方におすすめです。

 

おまけというか締め

 はい、初めてのレビューを書いてみましたがどうでしたでしょうか。私としてはそれなりに満足なレビューが書けたと自負しているのですがダメですかそうですか。

 ここまででだいたい4750文字。はえーすっごい書いてる...。今卒論の制作に追われているのですが、このレビュー記事でだいたい卒論ノルマ文字数の4分の1くらい。そう考えると凄い書いてますね。いや、卒論書けよ。こんなの書いてる場合か。

 ちょっと前の10本1万円セールの時に買ったゲームがまだ半分くらい積んであるので、次はそれらのうちのどれかのレビューを書くと思います。カナリアを買うのはまだ先の話。とりあえず次は「なつくもゆるる」か「涼風のメルト」のどちらかだと思われ。

 ではでは。