こなたよりかなたまで レビュー

 ども。年始から呑みすぎで吐いたセンヤです。

 期限ぎりぎりの研修課題を死ぬ気で終わらせつつ今回レビューするゲームはこちら。

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 F&C FC01さんの「こなたよりかなたまで」です。

 なんと2003年発売のゲームです。私まだ3さい。「かにしの」があまりにも良かったので、ライター繋がりで購入した次第です。あと500円セールだったし。

 

 

あらすじ(公式サイトより引用)

 あまり大きくない地方都市。そこにある一軒家に1人で住んでいる遥彼方。
両親は他界し天涯孤独の身だったが、そのことにめげる事無く丘の上の小さな学園に通いながら友達に囲まれ楽しく過ごしていた。

 ある時、彼方の身の上に思ってもみない事実が圧し掛かる。 驚愕し混乱するものの、何とか心の平静を取り戻した彼方は1つの決断を下す。可能な限りこの現実を守ろう、と。

 

ネタバレなしの感想

シナリオ     A     テーマ性の強いシナリオ

キャラクター A     皆優しく、魅力にあふれている

CG          B+     流石に少し古いが、ヒロインのデザインは可愛い

音楽     B+     雰囲気を阻害しない良い音楽

総合評価   B+     短いが圧倒的な満足感

 

 かにしののライターさんなだけあって、面白い作品でした。

 非常にテーマがはっきりしている作品で、ただそれだけをひたすらに描いているお話です。かなり短いですが、描くべきところはしっかりと描いているため、ボリューム不足による不満は少ないです。

 全体的に暗い話が多いので、その手の話が苦手な人にはおすすめしません。ですが、少しでも興味があればぜひやってみてください。きっと忘れられない作品になると思います。

 

ネタバレあり感想

クリスノーマルルート A

 最初に行くルート。ノーマルだけどクライマックス全開。

 凄く面白い!ってわけではないのですが、最後まで読んで「あぁ、やってよかったなあ」と思えるような素晴らしいルートでした。

 かにしのをプレイした時にも思いましたが、このライターさんは日常を描くのが上手い。日常に「余命僅か」という設定を乗せることで、「日常」の持つ性質を際立たせている。何気ないシーンでさえも切なさを感じてしまうような、綺麗なお話だと思いました。突然のファンタジー要素に戸惑う人も結構いたみたいですが、むしろ分かりやすい対比で良かったのではないでしょうか?この作品が名作足り得たのは、吸血鬼というファンタジーを取り入れたからだと思っています。

 ありたいようにあるのは難しい、そういうお話でした。人として生きるなら、ありたいようにあることはできない。ありたいようにあるのなら、人と共に生きることはできない。人と暮らしや想いを共有することが生きるということなら、彼方はクリスのおかげで最後まで人として「生きる」ことができたのです。

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 どうでもいいけど、クリスの制服の立ち絵くらい用意してやってくれ。

 

佳苗ルート A

 やっぱり幼馴染は最高だな!ところで幼馴染ヒロインって、キャラデザを一目見ただけで「あ、幼馴染だな」と分かりますよね。なんでだろう?幼馴染ヒロインに共通するお決まりのデザインとかあるのかな?分からないですけど、幼馴染ヒロインのキャラデザはだいたい好きです。佳苗も今作で一番好き。

 本編はクリスノーマルルートとは打って変わって、主人公の暗い一面が存分にクローズアップされたお話でした。徹底的に佳苗を拒絶する彼方。壊れていく佳苗。どちらの気持ちも分かるだけに、余計しんどい展開が続きます。しかし最後はしっかり感動させてくれました。

 このルートは彼方の在りたい自分を再確認するルートです。全てを失った後で、ようやく彼は気付いた。自分が今までしていたのは別れの準備でしかなかったということに。意地になって自分の生き方を一貫させようとして、本質を見失っていたのです。

 しかし、クリスは生きてさえいればやり直せると、そう言います。耕介の手助けもあって、佳苗とは無事に和解することができました。その時彼はようやく在りたい自分を理解したのでした。彼らがともに過ごせる時間はそう長くはないでしょうが、きっと幸せに満ちた時間になることを祈ってやみません。

 佳苗の強さも際立ち、凄く感動できるお話でした。

 

九重ルート B+

 一人だけ違う世界に住んでる感が半端ない子。攻略ヒロインとしては異例の寡黙さだったように思います。別に臆病とか奥手とか、そういう性格ではないんですけどね。

 このルートは、ラストのダンスシーンが全てをかっさらっていきました。詩的で美しくて、九重と彼方の物語の終着点を思わせる素晴らしいラストでした。人生をダンスに例えるのも儚さを感じてすごく良い...。佳苗ルートに近いレベルで感動してしまった。

 ここまでやっていて思ったのですが、この作品は主人公の色んな一面が見られますね。佳苗ルートでは彼方の暗い一面が顔をのぞかせましたが、九重ルートの彼方はおよそ模範的な人物像であったと言えます。特に九重に対する彼方の態度は最後まで揺らぎませんでした。このルートは多分、彼方の「在りたい自分」が最も体現出来ているのではないかと、そう思います。彼方の「在りたい自分」を見せることで、九重の中にある「在りたい自分」を見出す、そういうお話だったのでしょう。

 欲を言えば、九重の所属している組織についてもう少し補足が欲しかったかもしれません。結局殆ど触れられることなく終わってしまいましたからね...。でも、概ね満足なルートでした。

 

いずみ&優ルート B+

 幼女のエッチシーンなんて期待してません!してませんでしたから!ほんとに!

 このルートは殆ど過去編でしたね。でもちゃんと良いお話でした。

 結構残酷な話ですよね、これ。最後に残るのはいずみちゃんだけなんですから。彼方と優との思い出を持って一人で生きていくのでしょうね。凄く辛い。二人が亡くなった後も一人で祈り続けるいずみちゃんを考えると、なんともやるせない。残されていく人に出来ることは、きっと祈ることだけなのでしょう。いずみちゃんの無力感や切なさを痛烈に感じるルートでした。

 いずみちゃんも優も可愛くて魅力的なキャラでした。いや優ちゃんのエッチシーンが見たかったなんて思ってない

 あまり恋愛要素のないお話でしたが、それ以上に深い感情でつながっていることを思わせる暖かいお話でした。

 

クリストゥルールート A

 概ねクリスノーマルルートと同じ展開でしたが、終わり方が違います。

 まぁエンゲージの設定が出てきた時点でなんとなく予想できたオチではありましたが、感動できたのでOKです。

 在りたい自分であることは難しいし、でも在りたい自分であるならば人間らしく生きるのは難しい。だから、どこかで折り合いをつけて幸せになる道を探すしかない。どうしようもないことは、祈るしかない。でも、そうやって自分なりの幸せを見つけることができたなら、それはきっと素晴らしい人生なのです。

 

総評

 聞いていた通りに凄く短い!個別ルートなんて一時間もかからなかったような気がします。ですが、描くべきことはきっちり描いています。余計なものを極限までそぎ落としている分、伝えたいテーマがより強く響きます。吸血鬼と余命僅かな病人という対比も斬新で面白く、心に染み入るような感動のある作品でした。20年近く前の作品ですが、システム以外に古臭さも感じず。きっとこの作品を読んだことは一生忘れないと思います。やはり健速さんの作品は良い...。

 

まとめ

 久しぶりのブログ投稿になってしまいました。というのも、つい最近まで「花色へプタグラム」をやっていたのですが、あまりに虚無すぎて途中で挫折してしまったのです。結果、ブログ感想一作分くらいの期間が空いてしまいました。すみません。まぁ、誰もこんなブログ読んでないですけどね。気にしてるの僕だけ。

 年末年始は年賀状仕分けのアルバイトをしていました。勤務先の郵便局の近くにそこそこ大きな神社があったので、バイト終わりに独りで初詣も行きました。実績解除:一人初詣。今年から社会人ということで、ゲン担ぎにおみくじも引いてきました。小吉。うーーーーーん...。しょっぱい。新しい生活の幕開けとしてはなんとも締りの悪いものになりましたが、屋台が並ぶ中を歩き回り、久しぶりにお祭りの雰囲気を楽しめたので、まぁ楽しい初詣でした。

 今は差し当たって火急の用もなく、のんびり社会人までの最後のモラトリアムを過ごしています。まぁ、提出した卒業論文に不可つけられたら留年なんですけどね...。それはないと思いたい。頼むぜ私立文系。

 次回はいつになるか分からないです。この後から同人ノベルゲームをプレイするつもりなのですが、ブログには書かないと思うので。次感想書くとしたら、「すみれ」になると思います。積んでいるので。

 久しぶりのブログでついあとがきを書きすぎてしまった。ではではー。