緊張している

 少し前に学生終わる!みたいなブログ書きましたね。その延長です。

 

 そう、入社式が近付いているのです。そして、今からとても緊張している。

 別に、入社式に恐れおののいている訳ではないのです。基本的に話聞くだけでしょうし、自己紹介もてきとうに済ませばいいでしょう。終わる時間が気になりますが、それもまぁいい。

 問題はそう、本社のある東京へ前泊しなければならないということ。

 ...え?そんなこと?と思うかもしれません。しかし私にとっては大問題なのです。

 なぜなら、私は一人で遠出した経験が無い!新幹線を使ったこともなければホテルに泊まったこともない!無論東京遠征なんてもってのほか。

 何もかもが初めてだらけ。まぁ前泊なのでいくらでも時間かけていいのですが、それにしても緊張は避けられないわけです。

 新幹線の切符ってどうやって買うんだろう?東京駅の構造はどんなもんだろう?ホテルから本社までのルートはどうだろう?遠征前日を胃痛と共に過ごす今、無限に湧いて出る疑問を一つ一つネットの力で潰しています。

 とはいっても、百聞は一見に如かず。実際にこの目で見ないと分からないことも沢山ありますし、失敗は避けられないでしょう。それが怖い。全く見当違いな方向の新幹線に乗ったりしそうで怖い。まぁ、駅員さんを頼りまくるつもりなので大丈夫だとは思うのですが...。

 不安が積もり積もってこんな記事を書き始めましたが、思ったより書くことがなかった。感情を吐き出せただけでも意味はあるのでしょうが。

 そもそもこんな記事、人様に見せるものではなくないか?という疑問を飲み込んでここで終わることにします。不安ですが、楽しみであるのもまた事実。東京を楽しむつもりで入社式に臨みたいと思います。ではでは。

モラトリアムの卒業

 

 えー、今日(3月16日)うちの大学で卒業式が行われます。特定しないでください!無理だろうけど。さらに言えば特定する人もいないだろうけど。悲しいね。ちなみにこの文章は卒業式に向かう直前に書いています。本当に直前すぎて書く時間があまりないので、頭に浮かんだ文章を推敲せずにそのままノータイムでアウトプットしています。読みづらいのはすみません。(無理だった!書ききれなかったので途中から帰宅後に書いています。)

 

 私は現在、私立文系の四年生。当然ながら院進の予定もなく。20年近く掲げ続けた「学生」という肩書がついに外れようとしているのです。

 人生における一番と言ってもいい程の大きな節目を迎えようとしています。大学卒業に何の感慨も持っていない私ではありますが、流石に学生の終わりを迎えるという事実に対しては多少なりとも感じ入るものがあるのです。故にブログに書いてみようと思った次第。

 いざ自分の学生時代を振り返ってみると、まぁ、酷いものだったなぁと思わずにはいられません。怠惰と失敗と諦念にまみれた16年間でした。それでも、やり直せるならやり直したい...とは思えないのが私のどうしようもないところ。ゴミみたいな人生ですが、自分でも不思議なほどに満足してしまっている。まぁ、別人に生まれ変わりたいとは思っていますけど。

 今でこそどうしようもない根暗ですが、もちろん最初からこうだったわけではありません。毎日友達と泥だらけになりながら日が暮れるまで遊んだ記憶が私にもあるのです。けどまぁ、今はこういう惨状でして。ならいつから今の私になったのだろうかと考えると、やっぱり中学生時代かなあと。あの頃の私は本当に酷くて、親に捨てられても文句言えないようなことまでやっていました。それでも見捨てずにいてくれた親にはとても感謝しています。全く頭が上がりません。

 暗黒期を経てゴミみたいな高校に入学した私ですが、意外にも楽しい生活が待っていました。一番楽しく過ごしたのは大学生ですが、一番学生生活が楽しかったのは間違いなく高校生です。とにかく生徒のレベルが低く、一夜漬けで勉強しただけでトップクラスの成績を取れたのです。なろう系の現代知識無双のような快感をあそこでは味わえました。勉強が成果に結びつく楽しさを初めて感じた。そんなわけで、楽しく勉強してちやほやされながら、似た趣味を持つ友達と遊んで過ごしていたのです。学校祭のようなイベントもそれなりに参加したり。ダンスの練習のために放課後まで学校に残っていた時などは、思わず「青春」を感じてしまいました。この頃の思い出は、私の暗すぎる学生時代の中で燦然と輝く太陽です。

 せっかく良い成績を取っていたので、指定校推薦を使って進学しました。中学の頃は全く受験勉強をしなかったし、高校は指定校。私は一度も受験勉強というものをしたことがありません。屑のような中学時代からは予想もつかないような普通の大学へと進むことができました。まぁ、中の下くらいではありますが。

 大学生時代は矢のように過ぎ去っていったような気がします。それほどに密度が薄かった。三年からはコロナが流行りオンライン講義となりましたが、それを差し引いても全く中身のない生活を送っていました。逆に言えば趣味にひたすら時間を費やしたということでもあり、私は全く後悔していません。友達はおらず、相談ができる知り合いが数人いた程度ですが、大学生にもなると流石に自分なりの生き方が分かってくるものです。友達がいることだけが楽しい人生ではないことをちゃんと理解し、自分なりの楽しい生活を送りました。就活も適当でしたが、結局中学生の頃からやりたいと思っていた仕事に就けました。何の文句もありません。終わり良ければ総て良し。

 

 学生の終わりに対する感慨を書くつもりが、ただの人生の羅列になってしまいました。まぁ、見切り発車で始めたので仕方ないね。

 こうして自分の人生を振り返って思うのは、まるで自分の人生だという実感が湧かないな、ということです。どの記憶も、私が経験した思い出だとは思えないのです。私がそんな行動を、選択をしていたとは思えない。私ならこうしたはずじゃないか、ああしたんじゃないか、なんてことを考えてしまうのです。テセウスの船という言葉がありますが、まさにそれ。様々な経験を通して、私という人格は少しづつ作り替えられてゆく。やっぱり過去の私と今の私は全くの別人なんです。別人だから、人生を俯瞰して、第三者として見てしまう。だから自分の人生に後悔を抱いていないのかな、なんて思います。

 人生をやり直したいとは思っていない、と言いました。更に言えば、やり直しなんて不可能である、とも考えています。過去の集積が今で、今の集積が未来。過去の経験があって今の私が作られている。そう考えると、人生をやり直したいと思えないのも当然ではないでしょうか?やり直したとしても、やり直した先にいる私は私ではないのですから。今の私と違う経験を持っているなら、それはやっぱり私ではないです。今の記憶を持ったままやり直したなら、それはやり直しではないです。私という人間の人生がそういう風に進んだというだけ。直線が伸びただけ。究極的に言えば、どう頑張ったとしてもやり直しなんて出来ないのです。今の私と同じ経験を経ていなければ、私にはならないのですから。

 

 えーっと、何を書いていたんだっけ...?閑話が長すぎて辿れなくなってしまった。

 適当に話を締めるとしますか。簡単にまとめると、私の学生生活はゴミみたいで屑以下でどうしようもなかったけれど、それなりに満足している。そういうことを言いたかったんです。第二部社会人編がどうなるかは分かりませんが、まぁ、そうドラマチックな展開が起こったりはしないでしょう。今の延長線上のような感じで緩く続いていくことを祈るばかりです。

 冗長かつ中身のない駄文ですみません。読んでくれた方がいるかは分かりませんが、読んでいただきありがとうございました。学生生活は終わりますが、ブログはこれからも続けていくと思います。仕事が始まるので書くペースは格段に落ちるかもしれません。愚痴を書く頻度が増える可能性もある。気長にお待ちいただければ幸いです。

 ではでは。

こなたよりかなたまで レビュー

 ども。年始から呑みすぎで吐いたセンヤです。

 期限ぎりぎりの研修課題を死ぬ気で終わらせつつ今回レビューするゲームはこちら。

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 F&C FC01さんの「こなたよりかなたまで」です。

 なんと2003年発売のゲームです。私まだ3さい。「かにしの」があまりにも良かったので、ライター繋がりで購入した次第です。あと500円セールだったし。

 

 

あらすじ(公式サイトより引用)

 あまり大きくない地方都市。そこにある一軒家に1人で住んでいる遥彼方。
両親は他界し天涯孤独の身だったが、そのことにめげる事無く丘の上の小さな学園に通いながら友達に囲まれ楽しく過ごしていた。

 ある時、彼方の身の上に思ってもみない事実が圧し掛かる。 驚愕し混乱するものの、何とか心の平静を取り戻した彼方は1つの決断を下す。可能な限りこの現実を守ろう、と。

 

ネタバレなしの感想

シナリオ     A     テーマ性の強いシナリオ

キャラクター A     皆優しく、魅力にあふれている

CG          B+     流石に少し古いが、ヒロインのデザインは可愛い

音楽     B+     雰囲気を阻害しない良い音楽

総合評価   B+     短いが圧倒的な満足感

 

 かにしののライターさんなだけあって、面白い作品でした。

 非常にテーマがはっきりしている作品で、ただそれだけをひたすらに描いているお話です。かなり短いですが、描くべきところはしっかりと描いているため、ボリューム不足による不満は少ないです。

 全体的に暗い話が多いので、その手の話が苦手な人にはおすすめしません。ですが、少しでも興味があればぜひやってみてください。きっと忘れられない作品になると思います。

 

ネタバレあり感想

クリスノーマルルート A

 最初に行くルート。ノーマルだけどクライマックス全開。

 凄く面白い!ってわけではないのですが、最後まで読んで「あぁ、やってよかったなあ」と思えるような素晴らしいルートでした。

 かにしのをプレイした時にも思いましたが、このライターさんは日常を描くのが上手い。日常に「余命僅か」という設定を乗せることで、「日常」の持つ性質を際立たせている。何気ないシーンでさえも切なさを感じてしまうような、綺麗なお話だと思いました。突然のファンタジー要素に戸惑う人も結構いたみたいですが、むしろ分かりやすい対比で良かったのではないでしょうか?この作品が名作足り得たのは、吸血鬼というファンタジーを取り入れたからだと思っています。

 ありたいようにあるのは難しい、そういうお話でした。人として生きるなら、ありたいようにあることはできない。ありたいようにあるのなら、人と共に生きることはできない。人と暮らしや想いを共有することが生きるということなら、彼方はクリスのおかげで最後まで人として「生きる」ことができたのです。

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 どうでもいいけど、クリスの制服の立ち絵くらい用意してやってくれ。

 

佳苗ルート A

 やっぱり幼馴染は最高だな!ところで幼馴染ヒロインって、キャラデザを一目見ただけで「あ、幼馴染だな」と分かりますよね。なんでだろう?幼馴染ヒロインに共通するお決まりのデザインとかあるのかな?分からないですけど、幼馴染ヒロインのキャラデザはだいたい好きです。佳苗も今作で一番好き。

 本編はクリスノーマルルートとは打って変わって、主人公の暗い一面が存分にクローズアップされたお話でした。徹底的に佳苗を拒絶する彼方。壊れていく佳苗。どちらの気持ちも分かるだけに、余計しんどい展開が続きます。しかし最後はしっかり感動させてくれました。

 このルートは彼方の在りたい自分を再確認するルートです。全てを失った後で、ようやく彼は気付いた。自分が今までしていたのは別れの準備でしかなかったということに。意地になって自分の生き方を一貫させようとして、本質を見失っていたのです。

 しかし、クリスは生きてさえいればやり直せると、そう言います。耕介の手助けもあって、佳苗とは無事に和解することができました。その時彼はようやく在りたい自分を理解したのでした。彼らがともに過ごせる時間はそう長くはないでしょうが、きっと幸せに満ちた時間になることを祈ってやみません。

 佳苗の強さも際立ち、凄く感動できるお話でした。

 

九重ルート B+

 一人だけ違う世界に住んでる感が半端ない子。攻略ヒロインとしては異例の寡黙さだったように思います。別に臆病とか奥手とか、そういう性格ではないんですけどね。

 このルートは、ラストのダンスシーンが全てをかっさらっていきました。詩的で美しくて、九重と彼方の物語の終着点を思わせる素晴らしいラストでした。人生をダンスに例えるのも儚さを感じてすごく良い...。佳苗ルートに近いレベルで感動してしまった。

 ここまでやっていて思ったのですが、この作品は主人公の色んな一面が見られますね。佳苗ルートでは彼方の暗い一面が顔をのぞかせましたが、九重ルートの彼方はおよそ模範的な人物像であったと言えます。特に九重に対する彼方の態度は最後まで揺らぎませんでした。このルートは多分、彼方の「在りたい自分」が最も体現出来ているのではないかと、そう思います。彼方の「在りたい自分」を見せることで、九重の中にある「在りたい自分」を見出す、そういうお話だったのでしょう。

 欲を言えば、九重の所属している組織についてもう少し補足が欲しかったかもしれません。結局殆ど触れられることなく終わってしまいましたからね...。でも、概ね満足なルートでした。

 

いずみ&優ルート B+

 幼女のエッチシーンなんて期待してません!してませんでしたから!ほんとに!

 このルートは殆ど過去編でしたね。でもちゃんと良いお話でした。

 結構残酷な話ですよね、これ。最後に残るのはいずみちゃんだけなんですから。彼方と優との思い出を持って一人で生きていくのでしょうね。凄く辛い。二人が亡くなった後も一人で祈り続けるいずみちゃんを考えると、なんともやるせない。残されていく人に出来ることは、きっと祈ることだけなのでしょう。いずみちゃんの無力感や切なさを痛烈に感じるルートでした。

 いずみちゃんも優も可愛くて魅力的なキャラでした。いや優ちゃんのエッチシーンが見たかったなんて思ってない

 あまり恋愛要素のないお話でしたが、それ以上に深い感情でつながっていることを思わせる暖かいお話でした。

 

クリストゥルールート A

 概ねクリスノーマルルートと同じ展開でしたが、終わり方が違います。

 まぁエンゲージの設定が出てきた時点でなんとなく予想できたオチではありましたが、感動できたのでOKです。

 在りたい自分であることは難しいし、でも在りたい自分であるならば人間らしく生きるのは難しい。だから、どこかで折り合いをつけて幸せになる道を探すしかない。どうしようもないことは、祈るしかない。でも、そうやって自分なりの幸せを見つけることができたなら、それはきっと素晴らしい人生なのです。

 

総評

 聞いていた通りに凄く短い!個別ルートなんて一時間もかからなかったような気がします。ですが、描くべきことはきっちり描いています。余計なものを極限までそぎ落としている分、伝えたいテーマがより強く響きます。吸血鬼と余命僅かな病人という対比も斬新で面白く、心に染み入るような感動のある作品でした。20年近く前の作品ですが、システム以外に古臭さも感じず。きっとこの作品を読んだことは一生忘れないと思います。やはり健速さんの作品は良い...。

 

まとめ

 久しぶりのブログ投稿になってしまいました。というのも、つい最近まで「花色へプタグラム」をやっていたのですが、あまりに虚無すぎて途中で挫折してしまったのです。結果、ブログ感想一作分くらいの期間が空いてしまいました。すみません。まぁ、誰もこんなブログ読んでないですけどね。気にしてるの僕だけ。

 年末年始は年賀状仕分けのアルバイトをしていました。勤務先の郵便局の近くにそこそこ大きな神社があったので、バイト終わりに独りで初詣も行きました。実績解除:一人初詣。今年から社会人ということで、ゲン担ぎにおみくじも引いてきました。小吉。うーーーーーん...。しょっぱい。新しい生活の幕開けとしてはなんとも締りの悪いものになりましたが、屋台が並ぶ中を歩き回り、久しぶりにお祭りの雰囲気を楽しめたので、まぁ楽しい初詣でした。

 今は差し当たって火急の用もなく、のんびり社会人までの最後のモラトリアムを過ごしています。まぁ、提出した卒業論文に不可つけられたら留年なんですけどね...。それはないと思いたい。頼むぜ私立文系。

 次回はいつになるか分からないです。この後から同人ノベルゲームをプレイするつもりなのですが、ブログには書かないと思うので。次感想書くとしたら、「すみれ」になると思います。積んでいるので。

 久しぶりのブログでついあとがきを書きすぎてしまった。ではではー。

月あかりランチ レビュー

 ども。いよいよ学生生活が殆ど終わったセンヤです。

 内定先から届いた研修用教材から目をそらしつつ今回レビューするゲームはこちら。

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 今は亡きEX-ONEさんの「月あかりランチ OZ sings, The last fairy tale.」です。

 巷では隠れた良作と噂の作品です。デザインはかなり今風だと思うのですが、2013年発売らしいです。2017年くらいだと思っていたのでびっくり。

あらすじ(Wikipediaより引用)

目を覚ますと見知らない夜の教室に居た。

すると、少女に銃を突き付けられ「あなたは誰なのか」と問われるが、記憶がはっきりせず名前と職業を思い出し、志貴晴彦と名乗る。

少女たちも晴彦と同じく深夜の学園・「星影学園」にいつの間にか来ていたと言う。 違う世界の少女たちを元の世界に帰すには少女らの「願い」を叶えなくてはならないらしい。

そして晴彦は「俺がお前たちの願いを叶える、オズの魔法使いだ!」と高らかに宣言すると、学園に明かりが灯り始める。

 

ネタバレなしの感想

シナリオ     B+   余韻の残る良い感動シナリオ

キャラクター A     ヒロインだけでなく敵役も魅力的

CG          B     可愛いデザインだけど、一部構図やデッサンの狂いあり

音楽     A     落ち着いた曲調多めで雰囲気にぴったり

総合評価   B+     あと一歩で名作足り得た作品

 

 面白かったです。魅力的な世界観をしていて、どのルートも最後には優しい感動が待っています。ただ、少しボリュームが足りない気がします。そのせいでキャラゲーにもシナリオゲーにもなり切れなかった印象があります。感動も萌えもあります。けど、どちらかに特化させた方がより良い作品になったんじゃないかなあ、と思わずにはいられません。批判気味な感想になっていますけど、とても良い作品でした。もうすこし尺があればな...。惜しいです。

 

ネタバレあり感想

プロローグ A

 という名の共通パート。初回起動時にノータイムで始まったからすぐ終わるのかと思ってたけど、めちゃくちゃ長かった。

 共通としては中々良かったんじゃないでしょうか。夜が終わらない学園に閉じ込められた少年少女、影という敵の存在、魔女、忘れてしまったかなえたい夢、そして主人公は皆の夢を叶えるために教師になる...。一つ一つの要素は結構ありがちですが、それらを上手く組み合わせて面白い設定に作り替えたのは素晴らしいですね。ワクワク感があって先の展開に期待を持たせる、良いスタートだったと思います。

 ヒロイン達が別の世界からやってきたという設定も上手いです。皆それぞれ異なる価値観や常識を持っていて、だからものの見方一つとっても感じ方が変わってくる。そこから生まれる軋轢なんかも描いていて、上手く扱えるなら面白い設定だなあと感じました。凄く難しそうですが。

 共通時点ではアキ>アブリル>夏乃>フユの順で好きでした。とはいえ殆ど差はありません。皆可愛くて魅力的な人物でした。主人公とハルも良い。サイトウケンジさんが総指揮を務めるという時点で予想できていましたが、主人公に全く不快感が無いのが好印象です。読んでいて全くストレスがない。内面では他者とのすれ違いに苛立ちを覚えたりはしますが、それは主人公の人間味を出す描写として機能しています。それに、苛立ちを表に出す前にしっかり考える。本当にその苛立ちは正しいのかと。その上で相手の意を汲んで理知的な対応をするのですから文句なしです。全ての主人公がこうあってくれと願わずにはいられない。キャラゲーのスタンダードになりうる人物像だと思うんですけどね...。

 

フユルート B+

 戦争が絶えない世界からやってきた合理主義の具現化みたいな女の子。

 最初は価値観の相違故の衝突が多かったためなんだこいつ状態でしたが、少しずつ打ち解けてきて感情を見せ始めるようになると凄く可愛いヒロインになりました。好意を直球でぶつけてくるのが可愛くて仕方ない。ヒロインの魅力を最大限に引き出してくれるキャラゲーとしては満点近いお話でした。しかしイチャラブが少し足りねえ...。学園内しか行動範囲がないので、どうしてもイチャラブのシチュエーションが限られたものになってしまうんですよね...。

 終盤のシリアスパートもそれなりに楽しめました。魔女とも仲良く過ごしていたため若干緊張感に欠けたような気はするのですが、それもまたこの作品の味でしょう。私は好きです。

 それと、話の流れ的に妥当ではあるのですが、別離でお話が終わってしまうのが辛い。フユはこれからも戦闘の絶えない世界で生き続けるわけですしね...。心を持ってしまっただけにこれからの殺しは更に苦しいものになるでしょうし。主人公もいない世界で生きていくというのが辛すぎる...。いや、ED後の会話を見るに個別シナリオは可能性の一つ?夢?みたいなものなのかもしれませんけど(基本的に一人攻略完了するごとにブログを書いているため、フユルート感想を書いている時点では後の展開を知らないです)。

 

夏乃ルート B

 べんきょー大好き系ロリっ子ヒロイン。

 話としては結構面白かったとは思うんです。けど、夏乃が無自覚に好意を持ってから恋を自覚し、告白するまでの展開が駆け足すぎるように感じました。その後の展開も矢継ぎ早に進んでいきます。中だるみが無いのは良いんですけど、もう少し丁寧にやっても良かったんじゃないかなぁと思いました。付き合い始めた時点でもう寿命が明示されていたので、ただのイチャラブにそれ以上の意味が生まれてしまった。純粋に可愛さを楽しむだけのイチャラブというのが殆どなかったのが勿体ないです。どうもしんみりしてしまう...。

 「最後の瞬間までこの学園で勉強していたい、そして永遠の眠りの中で幸せな夢を見たい」という夏乃の想いが、主人公との対話を経て「生きて今よりも技術を身に付けて、異なる世界を行き来できる奇跡を自分の手で起こせるようになりたい」という想いに変わる。後ろ向きだった「夢」が前向きな意味での「夢」に変わるというのが綺麗な流れで好きでした。とはいえ、独断で卒業させようと考えていた主人公の思考には少し引っかかるものもあるんですけどね。教師は自立を促す立場ではありますが、手を引いて強引にレールに乗せるような存在であってはいけないでしょう。教師としての意見を夏乃に伝えた上で、夏乃に道を選ばせるべきだったと思います。

 それと、勉強しかすることのない世界に住んでいて本人も勉強が大好きなのに、成長期すらも知らないのは何故なんですかね...。色々知っているはずなのに何も知らないみたいなキャラ付けになっているのはなんというか、ちぐはぐ感があります。でも元気溌剌な夏乃の笑顔には癒されました。ヒロインとしては夏乃は好きです。かわいい。

 

アブリルルート B+

 お姫様騎士系ヒロイン。私が許容できる上限ギリギリの巨乳さんです。つまりはまぁ、大好きです!

 アブリルが逃げるくらいなら死にたかったと言った時に手を出した主人公を見て、なんか違うなと思ってしまいました。彼は一時の激情に駆られて衝動的な行動に出てしまうような人物ではなかったはずです。同じような状況だったフユとの衝突時も、湧き上がった怒りをそのまま吐き出す前に内省して、相手の理解に努めていました。そうやってワンクッション置いて行動できる人物だったはずです。それに比べると、このルートの主人公は直情的すぎる気がします。多分ですけど、このルートのライターはサイトウケンジさんではないのでは?サイトウケンジシナリオの特徴として、ツッコミ時に「!?」と?を加える傾向にあります。これは他ライターの作品ではあまり見られない表現なので分かりやすい。これがアブリルルートにはなかったので、多分違うんだろうなあと。

 このルートでは一応全員が卒業できました。学園での楽しかった記憶を精神的な支えにして元の世界を生き抜く、という結末は他の個別ルートでも提示された結末です。それを考えると、このルートはヒロイン全員がそれなりに幸せな結末を迎えたのではないでしょうか。むしろ、愛する人と離れ離れになったアブリルが一番辛い終わり方だったかもしれません。

 しかしあれですね。三連続で離別エンドを食らわされるとどうも食傷気味というか...。離別に付随する切なさや寂しさというものがあまり感じられなくなってきた気がします。慣れてきたのかな。とはいえ、アブリルも可愛かったですし、良いルートだったと思います。

 

アキルート A

 理解のある嫁みたいなポジションにいつもいる子。

 この作品の終章的な位置づけも含んでいますが、だからといってアキとの恋愛がおざなりになっているなんてこともなく。丁寧に描いてくれてました。その分他のルートよりは長めだったので、ややだれた感は否めません。

 終章に入るとグッと面白くなりました。謎が殆ど全て明かされて、一気に話が動き出します。ベタですけど、卒業式から結婚式の流れも凄く良くて、泣きそうになりました。

 心的な支えの重要性を分からされるお話でした。主人公はもう死んでいて、元の世界にはいないかもしれない。けど、主人公と共に生きた時間は確かにあったし、今も各々の心の中に生き続けている。学園で生活した時間は一瞬だったけど、いつまでも思い出せる。だったらそれは別れじゃない。過去も現在も未来も同時にあるのなら、死は別離にはなり得ない。完全なハッピーエンドという訳ではないですけど、全員が前を向いて生きていけるような素敵な終わり方だったと思います。エピローグ的に、もしかしたら再会できたのかもしれませんしね。

 

総評 B+

 全体的に構成が尖ってるというか、粗削りな印象を受けました。

 起伏が少なく、ちんたら読み進めているうちにいつの間にか話が終わってるような感じ。恋愛の描写は足りないし、敵がそんなに悪い人達ではないので緊張感がなくてシリアスにもなりきれない。キャラゲーにもシナリオゲーにもなれずに終わってしまいました。

 けど、世界観は魅力的でしたし、キャラも皆個性的で良く出来てる。特に、異なる価値観を持つ生徒たちと交流して普遍的な正しさを説いていく、という設定は面白いと思いました。話が動き出してからは楽しめる展開もいくつかありましたし、終章でしっかり物語を締めてくれています。完全な大団円ではない分、余韻の残る作品に仕上がっていました。

 佳作みたいな評価に落ち着きましたけど、読みやすいしボリュームもちょうどいい量なので万人におすすめできる作品です。

 ところで、ランチタイムって結局何だったんでしょうか?何を思ってこんな危ない時間帯を作ったんでしょう...。バッドルートで解説していたりするのかな。そちらは読んでないですすみません。

 

まとめ

 もうだいぶ寒くなりましたね。冬だァ。部屋に備え付けてある20年ものの暖房が悲鳴を上げているので多分もう壊れます。こわい。人類はいつの間にか、暖房がないと生きていけない軟弱な生き物になってしまったのです。

 卒論も提出し、大学の教育課程を完全に終えたので、あとはもう遊ぶだけ。と思った矢先に内定者研修で白目になりながら生きていますが、僕は元気です。

 そろそろ萌え一直線な脳死キャラゲーを挟みたいので、次は「花色へプタグラム」をやろうと思います。現実逃避にはキャラゲーこれ鉄則。

 ということで今回はここらへんで。ではでは。

Rewrite+ レビュー

 どもー。ブログのモチベが低下しかけているセンヤです。嘘です頑張りますゆっくりしていってください。

 年末に向けてタスクが増えてきたこの時期にプレイした今回レビューする作品はこちら。

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 はい。かの有名なギャルゲーメーカーKeyさんの「Rewrite+」です。

 +です。無印はやったことないです。追加要素みたいなものもいくつかあったみたいですが無印との差異は分かりません。

あらすじ(Wikipediaより引用)

文明と自然の調和を図る都市・風祭。この街にある風祭学院高校に主人公・天王寺瑚太朗は通っている。秋の収穫祭が近づくにつれ、瑚太朗の周囲では非日常的な出来事が頻発するようになる。残り少ない学園生活に対し焦りを感じていた瑚太朗は、自分を変えようと動き始める。

瑚太朗は、森遊びをしていた昔馴染みの神戸小鳥を迎えに行った夜を境に、心霊現象に悩まされるようになってしまう。オカルト研究会の会長である千里朱音に原因不明の出来事を相談したところ、瑚太朗は無理やりにオカルト研究会に入らされてしまう。自分を変えるため瑚太朗は小鳥をオカルト研究会に誘い、部活に打ち込むことを決意する。研究会員になった瑚太朗は、知り合いを巻き込んで謎の調査へ乗り出していく

 

ネタバレなしの感想

シナリオ     A+    かつてないスケールの壮大なシナリオ

キャラクター A+    ヒロインだけでなく、主人公や男連中も魅力的

CG          B    ......まぁ、うん

音楽     A+    流石のKeyクオリティ

総合評価   A+    すべてのルートが良く出来た凄まじい作品

 

 かなり面白かったです。言葉にするのは難しいのですが、非常にメッセージ性の強い作品になってます。特にグランドルートに関しては、直感的に楽しむだけでは物足りません。自分の頭で考えることが大事になってきます。なので、エンタメ全開な作品を求めている人には向いていないかもしれないです。それと、従来のKeyらしい感動もそんなに無いです。故に賛否両論が渦巻いている作品です。

 けどまあ、私個人としてはKeyで最も好きな作品になりました。興味のある方は是非やってみてください。

 

ネタバレあり感想

共通ルート B+

 予想以上に長い!そして面白い!

 こんなに長い共通初めてかもしれない。そんなレベルで長いです。けど、冗長さは感じない。強烈な個性を持ったキャラ達が展開するコメディは楽しいですし、水面下で何かが動きつつある不穏な空気も随所に感じられてワクワクするし、時折はっと考えさせられるような台詞もある。なんというか、不思議な空気感のお話ですね。

 人が人として生きる以上は地球を壊してしまう。それはどうあがいても止められることではない。いつか絶対に地球は壊れる。けど、人間はそれに目を向けることなく、自分の幸せばかり追い求めている。人は自分達が生きやすいように地球を変えていく。人の手で改良された植物を人の都合のいいように植えていく。人に害をなすと分かったとたんに毒をまく。自然は双方向的な関わり合いで成り立つものだが、人はそのバランスを壊していく。そこに真の自然はない。不自然に綺麗な自然があるだけ。

 でもそれは人間の発展には必要なものでもあるんですねー。そこらへんのジレンマというか二律背反というか...上手く表現していて感心してしまいました。思ったよりもこのゲーム、懐が深い。私如きの知能では考察しきれないな...。まあ、頑張ります。

 共通終盤あたりの突然のバトル展開は緊張感が凄かったですね。平穏が崩れ去るギャップが凄い。そして皆何か隠してそうなのが笑えると同時に切ない。お前ら自分のこと何も話してなさ過ぎるだろて...。そしてオカ研が思ったよりも薄い繋がりだったのかもしれないという悲しさ。

 ヒロインは現時点で小鳥>朱音>静流>ちはや>ルチアの順で好きですね。ぶっちゃけ皆同じくらい可愛いです。特に小鳥はドストライク。おお小鳥、お前は幼馴染の神だ。

 

小鳥ルート S

 え...なにこの超傑作...。

 あまりにも面白すぎてSとかいう新しいランク作っちゃったねえ!!!!!Sが一番上という風潮が好きじゃないからあえて作ってなかったのに、作っちゃったねえ!!!!!

 ここまで面白いお話はいつ以来だろう...というレベルで面白いルートでした。生涯ベスト5には確実に入る。

 最初はまあ普通に面白いレベルだったんですよ。けど、クラスメイトが本当は主人公を思いやっていたことが判明してからはもうエンジンフルスロットルですよ。先の読めない展開と小鳥の辛すぎる葛藤、そしてクラスメイトや吉野の優しさ。全ての要素が完璧に面白かったです。ここまで心折らなくていいだろ!と何度思ったことか。瑚太郎の性格が変わっていることが暴露された時は人生で最大レベルの溜息が出てしまった。魂が抜けそうなレベルの溜息が出た。そんな絶望の連続からの、小鳥のあのクライマックス。絶望するやら泣けるやらでもう情緒ぐっちゃぐちゃでした。お話の底が深すぎてびっくり。どんだけ展開動かすんだよ...。

 テーマは「心とは?」「生とは?」など。心って何だろう?何をもって生きているとしているのだろう?

 心を持たない存在であるはずのちびもすは、誰がどう見ても生きていた。心があった。ずっと魔物だった神戸夫妻は最後の最後で心を見せた。瑚太郎だって、確かに心があった。生きていた。瑚太郎だけは、読者として彼の内面を見続けてきた私たちが一番よく知っている。

 思うに、自分の心というものは自分で見つけられるものではないのだと思う。自分ではない「みんな」が、見つけてくれるものなのだと思う。瑚太郎がちびもすに心を見出したように、小鳥が親の心を見出したように。だからこそ人は生きるために、生きていると証明するために他人と関わる。人が生きるために必要なのは、「力」ではなく「みんな」なのだ。だからこそ、オーロラの力ではなく人の治療に頼った瑚太郎は一命を取り留めたのだ。

 そして、心があるということこそが生きているってことなのだと思う。つまり、心とは生きている証に他ならない。心があるから人は生きている。そして、心を見出すためには自分ではない誰かが必要だ。だから友達を作るし、家族を大切にする。

 ......こんな感じだろうか?思っていた三億倍くらい奥の深いお話だったので、ちゃんと深堀りできている自信がない...。一つ言えるのは、死ぬほど面白いお話だったということです。

 

ちはやルート B+

 これちはやというか咲夜ルートでは...?怪力娘ちはやのルートです。多分。

 ...いや、ほんとにこれ咲夜ルートじゃないんですか????だって一番活躍したの咲夜ですよ?最後まで彼のお話でしたよ?

 小鳥ルートとは打って変わって、ゴリゴリのバトルものでした。バトルに次ぐバトル。大体オチは咲夜が持ってく。...この話、ちはや何かしましたっけ?こんなに攻略ヒロインが空気なお話初めて読んだ気がします。恋愛もあったようで殆どなかったです。作中で一度も瑚太郎への直接的な好意を口にしていないような。手をつなぐすらもなかった...。物足りねえよぉ。

 ミドウがラスボスだと思ってたのに中ボスでしかなかったというね...。ミドウ倒した!→まだ続くのかよ!じゃあガーディアンがラスボスか→ちげーじゃねえか!あぁ会長か→また違ったよ!さすがにバトルが多すぎてくどい。熱いのはいいんですけど、どのバトルもだいたい咲夜が最後かっさらってくのもワンパターンですし、少し拍子抜けでした。

 ラストいきなりフォゴの能力使いだしたのは何だったんでしょう?時折ミドウの幻覚を見ていたのは、瑚太郎の心にミドウの死が強く残っているからであって、別にミドウを吸収したとかではないですよね?いきなりすぎて戸惑いました。ミドウ自体もそんなに良いキャラだとは思えなかったです。ありきたりなサイコキャラといった感じで、いきなり戦争孤児なんですとか言われてもはあそうですかとしか思えない...。

 テーマは自分らしく生きることの難しさ。というか生き方かな。

 魔物使いとして、ガイアとして生きる道しかなかったちはやのように、生き方を選べない人間は往々にしている。だが、それが不幸とは限らない。咲夜はちはやに仕える魔物としてしか生きられなかったが、その生き方に一切後悔していない。ちはやを守ることに生涯を費やして、悔いもなく全うした。

 生き方を選べないのが不幸なのではない。自分の生きたい生き方ができないことが不幸なのだ。

 でも、生きたいように生きるって難しい。人それぞれに生き方があるから。思想も道も異なる。だからガイアとガーディアンのように衝突は起こるし、ミドウみたいな他者に理解されない生き方をする人間もいる。結果、争いや戦いは避けられない。自分らしく生きるということは他人との衝突を避けられないということでもある。他人の未来を壊し、悩み苦しむこともある。けど、だからって道を進むことを諦めてはいけない。相手の想いをも受けついで、悩み苦しみながらも前に進み続ける。それこそが自分らしく生きることに他ならないのだから。

 まあ要所要所では面白い場面もあったのですが、小鳥ルートの後でこれはちょっと期待外れでしたね...。

 

静流ルート B+

 静流うううううううううううわあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

 正直言って、中盤までは好きじゃなかったんです。瑚太郎の独断専行が目立って、そのたびに瑚太郎じゃない誰かが苦しめられている。この手の感情で動くお話は好きなんですけど、不合理的な論理で不正解を選ぶ以上、普通のシナリオよりもキャラクターのヘイトコントロールが重要になると思うんですよね。第三者から見たらどう見ても完全に間違っている行動なんですから。その行動の選択に説得力がなければ、茶番にしか見えなくなるんです。で、このルートはそれに失敗してました。冷めた気分でずっと読んでました。でも、それだけじゃなかった。終盤の展開は文句の付けようもないくらい良い感動シナリオでした。静流の日記の演出が本当に良くて、泣きそうになりながら読んでました。そして、木になった瑚太郎と再会するラストでもうぼろ泣き。

 keyらしく泣きの要素が全面に出ていたルートでしたが、泣きの作り方はいつものkeyとは真逆だったように思います。奇跡がない。絶望の果ての奇跡で全てが反転して、カタルシスと感動が得られるのがいつものkeyの手法でした。静流ルートは絶望を自らの力で乗り越えることで感動を演出していました。いつものkeyらしい感動なら、最後瑚太郎を人間に戻して再会することで泣かせに来るんですよね。多分。どちらが良いというわけでもありませんが、静流ルートの終わり方は個人的にかなり好みでした。

 あと静流もめちゃくちゃ可愛い。なんだかんだで好意を隠さないのが可愛い。無口だけど表情で語りまくるの可愛い。声も可愛い。とにかく可愛い。

 中盤まではマージで微妙だったのですが、ラストでそれらを覆すような感動が得られたのでヨシ!

 

ルチアルート B

 典型的委員長。

 ...Rewrite、だよな?ガイアとガーディアンと鍵そっちのけで都市伝説追い始めてびっくりだよ...。まぁ、悪くはなかったんです。都市伝説が現実に浸食してゆく不気味さは上手く演出されていて怖かったですし、予想外の正体やオチのつけ方もそんなに文句はないです。でも、これをRewriteでやる意味ってあったでしょうか?私が読みたいのはRewriteであって、ひぐらしのなく頃にではなかったんですけど...。

 それとキャラの性格が違いすぎませんか。瑚太郎ってこんなにだぜだぜ言うキャラでしたっけ?静流ってこんなに多弁でしたっけ?吉野はこんなに直接的に協力するキャラでしたっけ?なんというか、二次創作みたいな違和感がありました。

 海外ドラマごっこみたいな会話も正直見ていられませんでした。ひぐらしのあのコピペみたいな。全体的にライターの個性が出すぎていて、Rewriteの枠に収まってない印象でした。

 ...とか言っておきながらデレデレルチアさんの可愛さで全てを許していくスタイル。ほんとすみません。ルチアがめっっっっちゃくちゃ可愛いんです。いやマジで。急にどうしたのってくらい可愛くなった。ちょっと猫なで声みたいになるの反則ですよ。それ、童貞キラーって言うんです。世の童貞が一人残らず殺されて世界の少子化問題は解決される。これがRewriteってやつか。

 他の個別ルートでは殆ど恋愛イベントがなかったので、久しぶりに純粋なイチャイチャを見せつけられて悶絶した。他のルートの瑚太郎が言わなさそうなキザったらしい台詞も、ルチアのデレが堪能できるので全然ありだった。ここはライターさんよくやったと言いたい。というか他のルートの恋愛要素が薄すぎるんですよね...。主題がでかすぎるので仕方ない部分もあるんですけど。でも、このルートの恋愛濃度を他でもやられてはお腹一杯になるかもしれないので、これはこれでちょうどいい塩梅なのかもしれません。

 存在しているだけで周囲に害を与えてしまう人に、果たして生きる意味はあるのか?という問いに意味なんて関係ねぇと返していくストロングスタイル。生きる意味の有無は死ぬ理由にはならないということでしょうか。鍵という存在について、篝を出さずに深堀りしたのは結構面白いと思いました。まあ、ライター間の齟齬が大きい作品なので、どれだけメインライターの意図を汲めているのかは疑問ですけど。このルートはRewriteという作品を竜騎士07さんが再解釈して作った話だったんでしょうね、多分。

 悪くはないのですが、話の毛色が違いすぎて正直あまり好きではなかったです。

 

朱音ルート S

 おっぱいさん。

 めっちゃくちゃ良かったです。個別ルートの集大成のような話で凄く面白かった。救済が始まってからはノンストップで駆け抜けてしまいました。地竜戦はこの作品で一番好きなバトルでしたね。文章描写の疾走感がずば抜けてた。

 個人的に一番グッと来たのは、来世で吉野と仲良く会話しているシーンですね...。ここにきてようやく真の友達になれたんでしょうね。吉野良い奴すぎるよ吉野...。

 テーマは償い。または罪とか継承とか。

 人は発展しすぎた。地球がもたないレベルまで資源を貪り尽くし環境を破壊してしまった。人が犯してしまった過ち。

 社会に居場所をなくした人達が集まるガイアは、人類の命運は地球に委ねるべきだと考えた。その結果人類が滅んだとしても、生きる価値のない自分に意味を見出せるから。地球のために尽力したのだと。でも、それは他人をも巻き込んだ迷惑な自殺に他ならない。それに、その思想は自分が気持ちよく死ぬための道。生きる道ではなかった。

 ガーディアンは、それでも人は生きていくべきだと信じた。確かに人は地球を壊してしまった。けれど、だからって滅びを選んではいけない。それは生きる方法を、未来の可能性を潰す行為に他ならないから。人は確かに愚かでどうしようもなかった。それでも、今からでも変えられる何かがあるかもしれない。その希望に縋って生きていくべきだと考えた。だから、地球の意志を殺すべきだとも考えた。

 人は大きすぎる罪を犯した。取り返しのつかない大きな罪。地球にすらも否定されるほど罪を犯しながら、それでも人が生きていくためには、償いが必要なのだ。とても清算しきれないような罪を背負ったとき、償いはきっと救いになる。たとえ真の幸福が訪れないとしても、それでも人として生きたいというのなら、一生をかけて罪を償いながら生きていくしかない。そしたらきっと、その果てに救いと安堵があるだろう。

 かなり壮大なお話でしたが、最後までとても楽しめたルートでした。

 

Moon A+

 もう一人の篝ルートと言えるでしょうか。

 スケールが更に大きくなり、理解するのが大変でした。でもまあ、結局は愛のお話だったのでしょうね。瑚太郎の愛が篝を動かし可能性を作り出した。そして、篝もまた瑚太郎を愛していたのでしょう。永遠の蜜月がどうのって言ってましたしね。このルートも後半は大きく盛り上がりましたが、続くTerra編のための壮大な前日譚といった様相。

 一切しゃべらないヒロインというのも中々珍しい。特にこの手のノベルゲームでは見たことが無いレベルです。けどすごく可愛かった。月の命そのものを可愛いと思えるだなんて、私ももしかしたら凄い人間なのかもしれん。いやてきとうだけど。

 終盤の防衛戦はかなり熱かったですね。そしてここでも咲夜。お前えええ!こんなとこまで活躍するのかよ!ちはやがまたこっそり亡くなっておられるじゃないか!好きです。吉野も良かった。お互い唯一無二の存在でしたでしょうね。思わず涙してしまいました。

 いやー、結構難解な話でしたけど、それ以上にこれを書き上げたライターさんの力量が凄まじいですね。しかもこれでまだ本番ですらないんですから。やっぱり評判通りの素晴らしいライターさんです。田中ロミオさん。

 

Terra A+

 まさしくRewriteの集大成なグランドルート。

 一人の少年の人生を描き切った非常に壮大なお話でした。いや凄く面白かったことは事実なんですけど、小鳥ルートや朱音ルートのような直感的な面白さとは異なって、かなりテーマ性を前面に出したお話なんですよね。だから感想を書くのが凄く難しい。私の考察の甘さが浮き彫りになってしまう...なので細かいことはあまり書かないことにします。

 愛のためにすべてを捧げた瑚太郎を地球の化身たる篝は受け入れた。つまりはまあ、愛のお話だったんじゃないでしょうか。環境問題がどうとかも一つの重要な部分ではありますが、「地球を大事にしよう!」ではなく「たとえ地球の資源を食いつくすことになろうとも発展を止めてはいけない」だったのではないでしょうか。

 正直、このルートの全てを理解した訳ではありません。けど、間違いなく傑作ルートでした。このお話を書きあげたライターさんの力量に感服するばかりです。

 

総評 A+

 他に類を見ない程の壮大なスケールで描かれた愛の物語でした。

 非常に考察の懐も深く、しようと思えば無限にできるかと思われます。正直、私の手には負えない。

 どの個別ルートも良く出来ていて、非常に長いお話ながらもあっという間に終わらせられました。音楽も良く、キャラも可愛く、文句の付けどころがほとんどない。Keyで一番好きな作品になりました。

 

まとめ

 お金が無い!お金が無さ過ぎてにっちもさっちもいかなくなってきた次第であります。けどゲームや本を買いまくるもんだからなけなしの貯蓄が更になくなっていく。

 次やるゲームは何にしようかなぁ(直前の文章を全力でスルーしながら)。と言いつつも、実はもう決めてあったりします。「月あかりランチ」という作品です。多分。ああいや、その前にRewriteのFDだけはやりますけどね。次のブログ更新は年内にできるといいなあ。

 まあ、それよりも何よりも、卒論の完成が先ですけどね。それに内定者研修もあるし。ああやだ考えたくないことが無限に浮かんでくる!発狂しそうなのでそろそろ筆を置くことにします。次のブログでお会いしましょう。ではでは。

小説書いてみた

 宣伝です。このブログで宣伝することに何の意味があるのか分からないけども宣伝です。

 たまに、ほんとにたまにですが、小説を書いてたりなかったりします。まぁ普段はプロットも何も決めずに適当に書き始めては詰まって消してを繰り返しているので、殆ど公開はしていないんですけど。ちょっと思いついたアイデアがあって、一応お話として形になったので公開までこぎつけることができました。

 なので、ここで宣伝しまーす。

「とあるホスピスの一室で【ショートショート】」投稿しました!
 

 これです。ぜひ読んでみてください。ショートショートなのですぐ読めると思います。

社会人になる日は近い

 本日11月12日、内定式が行われる模様。これを書いているのは家を出る前で、緊張にお腹を下している時間であります。落ち着かないのでただ思ったことを出力してみる。なので散文的で読むに堪えない駄文かも。すみません。

 

 正直言って、私は就活を適当に終わらせた。どれくらい適当かというと、内定先が何をしている会社なのかいまいちわかっていないレベルの適当。ただ漠然とITの仕事がしたいと思っていて、でも文系だしスキルもないから就活は厳しくなるだろうとも思っていた。だから、とにかくこの業界に入れるならどこでもいいやという考えで内定の取れた会社に決めた。選んでなんていられなかった。それに、もしこの会社がやばいところでも、ここでスキルを身に付ければ潰しがきくかもしれないとも考えていた。なお、ここ以外の会社は箸にも棒にもかからなかった。その程度のセルフプロデュース力。つまりはコミュ障陰キャ

 というわけで今日、その会社の内定式に行くわけだ。会社の規模は200人ちょっと。まぁ普通の中小といった様相だけど、この業界では珍しく30歳を越えている会社でもある。IT業界でこれは珍しい。名古屋には数えるほどしかないらしい。何故なら、昔のPCはけた違いに値段が高く、よって市場もターゲットも今と全く異なるからだ。激動の時代をなんとか対応して切り抜けた一部の猛者だけが生き延びたのだ。閑話休題。それだけ長く続いた会社なのに未だ200人ちょっとしかいないという事実に若干不穏な空気を感じないでもない。今となっては後の祭り。

 内定式の案内メールにはCCがつけられていて、私のほかに2人が同じメールを共有していた。つまりはこの2人が同期なのだろう。少ないと思ったが、そもそも私の勤務先は支社だし、200人規模なら妥当なところか。

 スーツに着替える。このスーツには、これから何度もお世話になるのだろうか。いや、そうでもないか?父は私と同じくIT業界の人間だが、スーツはもう長いこと使っていないという。オフィスカジュアル?クールビズ?知らないけど、そういう時代らしい。私服を買いそろえるべきか。

 ここまで思考の羅列を書いてきてふと気付いた。内定式って、これのためにあるんじゃないか?つまり、就活を終えて気が緩んだ学生達に、これからの社会人生活を意識させるためにあるのではないか?と。

 そう思うと私は術中にはまっているわけだ。こんな訳の分からない文章を書いてしまうほどに緊張しているのだから。内定式とは中々よく出来たシステムだと思う。

 そろそろ時間だ。出発する。これから始まる新生活に向けての、第一歩目。失敗は、したくないな。